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エンジニアに求められるコミュ力の正体

目次

  1. コミュニケーション能力
  2. エンジニアとしてのコミュ力
  3. 理解度チェック
  4. 言葉のチューニング
  5. まとめ

 この記事は、非エンジニア(クライアント、ディレクター、デザイナーなど)とやり取りする機会のあるエンジニア向けです。
 コミュ力を磨けと言われて困っているエンジニアに向けて、「大丈夫、雑談する力は磨かなくていいんだよ」と伝えたい。

「私のエンジニアとしての強みは、コミュ力があることです。」
 というときに、例えば上長に私のコミュニケーション能力を見習えと言われた後輩エンジニアが私のしゃべり方を真似して事故るということが往々にしてあった。その時はうまく説明できなかったのだが、どういうことなのか最近わかってきたため言語化してみる。
 今回は、私の強みのコミュ力というのは実はコミュニケーション能力じゃないという話だ。

コミュニケーション能力

 私の友人に、中途入社してきた初対面の相手に対しランチの時間だけで過去の仕事の話からプライベートな恋愛事情や家族構成まで聞き出せる人がいるのだが、私はそういうことはできない。英語の文章のような補足をするが、彼女はスパイになれると常々思っている。
 私には雑談を広げる力はない。中途入社の人との初めてのランチでは友人がありとあらゆることを聞き出す横でハハハ……と笑っているくらいのことしかできない。
 こういう人間としてのコミュニケーション能力は、今回の話には関係ない。
 それでも私は、コミュ力が強みのエンジニアである。それがどういうことかひも解いていく。

エンジニアとしてのコミュ力

 私が得意なのは、非エンジニアのエンジニアリングの知識レベルを大体把握してその人に合わせた言葉にチューニングすることだ。
 エンジニアの言葉が「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」に聞こえる非エンジニアに、「下界の異教の神の使いにされた人を居住区から追放する」に言い換えられるというわけだ。
 冒頭のしゃべり方を真似して事故った人は、そのチューニングをしないままだった。私がエンジニアリング知識皆無のクライアントにかなり嚙み砕いて説明したエンジニアからしたら赤ちゃん言葉のような説明を、そのままエンジニアリングがある程度わかる別の人にした。プライドある社会人が突然赤ちゃん言葉で説明されたらどうなるか想像はつくだろう。馬鹿にしているのかと怒られること請け合いである。

 というわけで、エンジニアのコミュ力とは言葉のチューニング能力のことだ。

 これを上手く使うとどうなるかというと、非エンジニアからの信頼が篤くなる。その人が知るエンジニアという得体の知れない生き物だったのが、言葉が通じる人間に昇格するからだ。
 このことから、他人からの評価はコミュ力がある(喋れるから)、ということになる。
 でも実際は、上記の通り言葉通りのコミュニケーション能力ではない。ここにギャップが生まれて、コミュニケーション能力を磨こうとするエンジニアにとってはいくら明るく振舞おうとも話しにくいと言われてしまうことになる。
 大丈夫。雑談する力を磨く必要はないのだ。

 では、その言語のチューニング能力はどうしたら身につくのか、というところだが。正直に言うと、意識して習得したわけではないので、コレというものはない。

理解度チェック

 理解度の理解が言葉のチューニングをする前に必要になってくる。
 これに関しては、普通に思い切って「ちなみにさっき言った〇〇ってわかりました?」と聞いてみるのが一番いい
 認識のすり合わせは重要だ。認識のすり合わせだと言えば聞きやすいし、相手もわからないと答えやすい。

 私は相手の理解度を勝手に測ることで相手にストレスなく言葉のチューニングをするのが得意というだけで、私のように顔色を窺って数ラリーの会話で理解度を測る、というのはマストではない。
 ただ、私のカス能力の一つとして、「目上の人にため口をきくタイミングを見極められる」というものがある。年上、目上など、基本的に敬語を使う相手に対し、仲良くなれそうな瞬間ため口を一瞬使ってみるのだ。これはめちゃくちゃ怒られるかもしれない諸刃の剣なので使うことはオススメしないが、おっさんには大体有効である。元々おっさんしかいない会社にいた私の、可愛がられるために伸ばした能力だ。可愛がられた方が仕事はしやすい。
 とにかく、このため口をきく一瞬を見極めるというのは、要は話す時に相手をじっくり観察するということだ。
 例えば、理解度。わからないときは素直にわからないと言ってほしいが、相手も愚かだと思われたくないのでなかなか素直にわからないとは言わない。しかし、言葉にしなくても、顔を見れば頭の中に疑問符が浮かんでいる顔は大体わかるだろう。そのほか、何かの単語で一瞬眉が動かなかったか? 口角は少しも上がっていないか? 声だけのミーティングならば、声の調子はどうか。上ずってないか、フィラーは増えていないか。
 そんなことを見てみると、相手の理解度がなんとなくわかるようになってくる。これは慣れだ。

言葉のチューニング

 あ、わかってないなこの人、と気付いたら、言葉のチューニングを行う。
 これは、自分の知識を深めるのがいいと思う。ぶっつけ本番は難しいので、アヒルちゃんデバッグの要領で自分のために嚙み砕いて理解していくのを普段から意識しているといいかもしれない。
 新卒にエンジニアリングを教えるときに、最初からすべて専門用語で教えることはないだろう。まずは専門用語の説明をするはずだ。
 しかし非エンジニアに専門用語の説明をするのかというと、それは違う。相手が知りたいのは用語の意味ではなく、エンジニアが何をしたらどうなって自分が満足する結果が得られるのかだ。
 専門用語の説明用語で、対応内容を説明する。これが言葉のチューニング。相手がわかる言葉で説明してあげるということだ。

まとめ

 エンジニアが会社から求められるコミュ力の正体は、相手に理解しやすい言葉選びをする言葉のチューニング能力である。
 コミュ力って言われても話すことなんかない、と思って困っているエンジニアに届けば幸いである。